どうも、太陽です。(No71)
ある人と「安倍晋三回顧録は100万部売れるか売れないか?」で議論になり、僕は「絶対に売れない」と言いました。
このテーマについて話すことで、政治力学や人間心理について学べ、さらに昨今のベストセラーの傾向に踏み込むことでどういう本が売れるのか?迫れると思い、記事化してみました。
興味がある人は続きをお読みください。
1 昨今のベストセラーの傾向。
2022年のベストセラーランキングは以下です。「日販調べ」(文庫・コミック・全集は除く)
| 書名。 | 著者。 | 価格。 |
1位 | 80歳の壁。 | 和田秀樹。 | 900円。 |
2位 | 人は話し方が9割。 | 永松茂久 | 1400円。 |
3位 | ジェイソン流お金の増やし方。 | 厚切りジェイソン | 1300円。 |
4位 | 20代で得た知見。 | F | 1300円。 |
5位 | 同士少女よ、敵を撃て。 | 逢坂冬馬 | 1900円。 |
6位 | メシアの法。 | 大川隆法 | 2000円。 |
7位 | 898びきせいぞろい ポケモン大図鑑(上・下) | | 各1000円。 |
8位 | 70歳が老化の分かれ道。 | 和田秀樹 | 1000円。 |
9位 | 本当の自由を手に入れるお金の大学。 | 両@リベ大学長 | 1400円。 |
10位 | 私が見た未来 完全版。 | たつき諒 | 1091円。 |
和田秀樹の老人向け本が1位と8位にランクインしています。
値段も安い上に、ニーズを汲み取った結果でしょう。
「80歳の壁」の累計発行部数は約53万部とのこと。
2019年9月に発売された「人は話し方が9割」は累計100万部を超えています。
2013年に発売された「伝え方が9割」も累計130万部を超えており、似たようなニーズが根強くあったと窺いしれます。
お金の本も3位と9位にランクインしており、根強い人気を得ています。
2021年11月に発売された「ジェイソン流お金の増やし方」は累計約55万部らしいですね。(「80歳の壁」が約53万部と書かれており、矛盾しています。よくわかりません)
4位の「20代で得た知見」はエッセイであり、著者のFは著書累計75万部の人気作家のようです。
「メシアの法」は大川隆法著であり、いわゆる信者向け宗教本です。
信者に半ば強制的に買わせていると思われ、マーケット原理は働いていません。
以下の記事では、国内には50万人程度(公称数は1100万人)の信者がいるといわれる、と書かれています。
「メシアの法」の発行部数はわかりませんが、5位の「同士少女よ、敵を撃て」が累計発行部数約46万部らしく、それ以下だと推測できます。
国内に50万人程度の信者がいることからも、信者のほぼ全員が買ったら、約50万以下(約46万部以下とのことなので、45万部くらい?)は売れたのでしょう。
さて、YouTuberヒカルの著書「心配すんな。全部上手くいく。」は2022年9月に発売され、累計発行部数25万部だそうです。
おそらく、自分たちの知り合い間でも協力して本を購入していたでしょうが、どれくらいマッチポンプ的な部数増を果たせたのでしょうか?
宗教本やYouTuberなどは、信者や知り合いらを動員して、部数増を無理やり作ることができます。
仮に外部にバレても、何も痛手を負いません。
しかし、安倍晋三回顧録が宗教本やYouTuberなどのようなマッチポンプ的な部数増を狙って仕掛けたらどうなるか?の思考実験をしてみます。
2 安倍晋三回顧録100万部達成へのマッチポンプ的部数増の思考実験。
そもそも、岸田さんにも自民党にも、わざわざ「安倍晋三回顧録」を無理やり100万部達成する誘因があまりありません。
「安倍晋三回顧録」が100万部達成したら、世間では「過去の人を評価する人がいたのだな」ぐらいの認識か、または「こんなことが起こるのはおかしい」と陰謀論が流れ、さらにマッチポンプが本当に行われていたら、誰かが週刊誌に漏らすリスクがあります。
過去に、政治家の本が100万部売れたことがなかったですが、それはわざわざ大多数の人間にゆすられる弱みを作る動機がなかったからです。
マッチポンプ的な部数増を仕掛けて、そうなれば大多数が関わることになり、誰か1人でも週刊誌にその情報をリークしたら、世間の批判が飛んできます。
そんなリスクをわざわざ政治家が背負う必要はありません。
だからこそ、過去に誰1人として、マッチポンプ的に大多数を巻き込む強引な部数増工作を仕掛けなかったのです。
政治家の本として、2020年発売の小池百合子の「女帝」は珍しく約20〜30万部売れたようですが、あれは世間の関心が純粋にあったのでしょう。
5月29日の発売から約2週間で15万部売れたともあります。
「安倍晋三回顧録」は発売から1週間で発行15万部を突破したそうなので、もっと勢いがあります。
しかし、昨今のベストセラーを分析してみると、上位にくるのは自分ごとに関係する内容ばかりです。
老人向け、「話し方・伝え方」、お金、英語(TOEIC)、さらにエンタメ系(小説やエッセイやポケモンなど)です。
自分の生活・人生にそこまで関係ない、しかも大衆向けにそこまで易しい内容ではない「安倍晋三回顧録」が100万部に到達するか?といったら、かなり無理筋だとはわかるでしょう。
2010年発売のサンデル教授の小難しい内容の「これからの正義の話をしよう」は累計発行部数60万部を超えたそうですが、時代背景が違いすぎます。
「安倍晋三回顧録」はマーケット原理からいくと、100万部到達は無理で、仮に100万部到達したら、それは裏で工作がなされたとみなすべきです。
しかし、工作は週刊誌にリークされる危険性が高すぎるため、政治家はやりづらいです。
となれば、「安倍晋三回顧録」は最高でも40万部いけば大成功という見方に落ち着きます。
2019年発売の「スマホ脳」は累計発行部数60万部らしいですが、自分ごとですし、新書です。
「安倍晋三回顧録」は単行本で1980円もするので、よほど強い動機・欲求がないと買わないのです。
そして、昨今、メルカリが流行っており、新刊で買った人達はメルカリで7割ぐらいの値段で売ってしまいます。
ガーシーの「死なばもろとも」は発行部数は約10万部ぐらいのようです。
これはメルカリで大量に中古で流れており、僕も中古で買ったのでよく理解できます。
現在、「安倍晋三回顧録」はメルカリで約100冊ぐらい売られていますが、1980円以上の価格設定のものばかりで、新刊を買った方が安い状態です。
ですので、まだ新刊が売れそうですが、仮に30万部突破ぐらいまでいくと、メルカリにも流れてきて、中古市場が活性化すると僕は予想します。
そうなったら、伸びが鈍化します。
また、一般人は自分の生活が第一で、基本的に政治家、しかも過去の人のことなど知る動機付けがありません。
100万部なんてどう考えても到達しない未来図が見えますよね?
100万人が1980円も出して、自分ごとじゃなく、小難しい内容の、しかも過去の政治家の回顧録の新刊を買うニーズがありません。
僕と議論したある人は政治学に精通しており、しかも安倍晋三に興味があったというバイアスが相当に絡んでいるのです。
安倍晋三の件が自分ごとになっており、強い興味の対象になっていますが、一般人はそうじゃありません。
しかし、安倍親衛隊や安倍応援団が過剰に団結し、政治家とは関係ないところで、部数増に協力する動きもありえます。
正直、安倍晋三は過去の人であり、金を投じる意味も弱いですが(将来、成功しそうな人に投資するのは理解できる)、宗教法人と似ていて、非合理なことをやる可能性は残ります。
しかし、その動きを見せても、100万部到達には遠いでしょう。
こんな議論に何の意味があるのか?と考えましたが、過去に政治家の本で100万部に到達した本がない理由が解明できた発見がありました。
政治家は弱みやゆすりの材料を作りたくなく、マッチポンプをやりづらかったのです。
しかも、著書が100万部達成したからといって、大してメリットがありません。(いや、評判は上がります)
ですが、政治家の力でそこまで爆発的に売上を作るのは無理なので、工作が行われていたと見るべきで、やはり無理筋なのです。
「安倍晋三回顧録」が100万部売れると予測する心理が僕にはわかりません。
安倍親衛隊や安倍応援団が過剰に頑張るのでしょうかね?
40万部は潜在能力があるとして、60万部を余分に売るとしたら、1冊2000円と計算して12億円です。
12億円ぐらいなら、資産家の誰かがやりかねませんが、大量のゴミを所有するか、どこかに保管するか、捨てなければなりません。(100万部達成まではメルカリに流通させることもできません)
60万冊の本を購入するには、大量の人員を必要とし、やはり週刊誌にリークの危険は残ります。
100万部達成しても、週刊誌に「マッチポンプで無理やり売上を作った者がいる」と暴露されたら意味がありません。
それほど100万部という部数は無理やり作るのが難しく、世間のニーズの反映なのです。
AKBの握手券付きのCDは熱烈ファンが大量に買うのはバレているので問題ないです。
安倍晋三回顧録が仮に100万部到達したら、僕は工作を疑います。(実現確率はほぼないと思います)
マーケット原理と論理的・合理的に考えたらありえないことなので、実現したら裏で工作がなされたのです。
3 人々の本音を探るべき。
以下の箕輪さんの動画があります。
世の中のほとんどの人は「本音を隠して生きている」といいます。
しかし、財布を開くときだけは本音です。
事業を作るときは表に出ている言葉だけを信じて作ると、失敗します。
例えば、マクドナルドでのアンケートでは「ヘルシーなサラダやハンバーガーが欲しい」とあったのですが、現実はマクドに来る人はジャンクな食べ物を食いたいのです。
洞察力で人々の本音を探り、それに基づいて事業化するのが賢いのです。
今回の記事も、本音から分析しています。
「安倍晋三回顧録」を100万人が1980円も出して、自分ごとじゃなく、小難しい内容の、しかも過去の政治家の回顧録の新刊を買うニーズがないと喝破しています。
一般人が特定の政治家にかなり肩入れして、本を買う欲求がないのです。
さらに、1980円は出したくないけど、中古なら読みたい層がいて、それらはメルカリに流れると予測しています。
皆さんも、消費者の本音を探り、どれが売れるか?を探ってみてください。
ただし、1つ注意点があります。
それは金を払った商品やサービスだからといって、本当に好んで買ったか?は完全には不明だという意味です。
例えば、僕の4つのブログ全記事は、僕が仮に20歳の若者だったとしたら、現在時点で10万円を払ってもコンテンツを読みたい代物です。
しかし、それは僕自身が全てのコンテンツの中身を知っていて、切実に求めているからこそ言えるわけで、中身を隠した状態で売るとしたら、知らないわけで、「本当に10万円の価値があるのか?」と不審に思うわけです。
定番の人気作家なら、著者買い、つまり、中身もおそらく質が高いだろうと期待して買うわけです。
読み終わったあとで、初めて「この本は1900円の価値があった」と納得します。
ですから、財布を開いたからといって、継続的じゃなく、1回目なら本音じゃなく、期待なのです
期待して財布を開いたけど、ガッカリした経験が誰でもあるはずです。
だからこそ、人は事前に口コミやレビューなどを調べたり、価格なども参考にしてこれくらいならガッカリしてもいいか、と思いながら買うのです。
ですから、「納得いただけなかったら、返金します」という謳い文句はかなりの安心感を与える手法です。
もしくは「一定期間は無料のお試し期間です」もハードルを低くします。
KindleUnlimitedは、会員なら、無料で読めるコンテンツがあり、「買って失敗した!」という残念感を減らせます。
素人作品だからこそ、金を払うのは怖いですが、その不安を消している上に、著者にもKindle本を読まれた分の金を支払っています。
僕のKindle本も、Kindle会員なら無料で読めるので、怖いものみたさで興味がある人は読んでみてください。
最後に、以下の2023年7月8日の記事で、安倍晋三回顧録は27万部を記録したと書かれています。
まぁ文庫化も3年後?にされて、部数の上積みがあるかもしれません。
2016年には田中氏の生涯を描いた故石原慎太郎氏の『天才』が出版され、92万部のベストセラーになり、18年には文庫化されたそうです。
2023年7月22日現在、メルカリで1300円くらいで売られていますが、すぐに売り切れていますね。
しかし、Amazonの売れ行きはかなり鈍っています。
田中角栄本の前例があり、「天才」が92万部のベストセラーになったとは知りませんでした。
安倍晋三回顧録は僕の理屈上では100万部に到達しない予測なのですが、覆ることはあるのでしょうか?
ではこの辺で。(3697文字)
このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。
あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。
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