どうも、太陽です。(No25)
前回の記事が以下です。

エンタメ産業の未来 PART1
前回までで、エンタメ産業の未来について、エンタメ社会学者の著者が書いた「推しエコノミー」の序盤を要約しました。
今回の記事は一部、本の要約もしつつ、僕の考察も素人ながら、混ぜていきます。
興味がある人は続きをお読み下さい。
3 推しエコノミーという経済圏。
「名探偵コナン ゼロの執行人」という作品があります。
メイン登場人物の「安室透を100億円男にする」を合言葉に、主に女性ファンが5回、10回と映画館に行く現象が起きました。
(映画興行収入100億円という意味です)
しかし、2021年に公開された「名探偵コナン 緋色の弾丸」ではその現象は起きませんでした。
理由は鬼滅の刃など、他に注意が逸れたからです。
シン・エヴァンゲリオンでは、興行収入100億円に到達させるぞ!物語が起動しました。
で、ツイッターでもハッシュタグが開始され、祭りが起こりました。
ユーザーはモノの消費から、体験と物語に価値感をシフトしたのです。
前回の記事でタイムパフォーマンス(時間対効果)の話をしました。
で、ユーザーはコンテンツ過剰時代において、「どれに時間をつぶすか」に真剣に向き合っているのです。
SNSにアップでき、ログを残して誇れるような、自分だけの特別な体験をしたいのです。
高い海外旅行に行く余裕はありません。
1万円を払って観劇に行くよりも、もっと特別な体験をしたいのです。
差別化の道具は陳腐化しています。
会社の肩書や学歴での差別化はオシャレではありません。
さらに、容姿での差別化はイケメン・美女に許された特権です。
また、金持ち自慢や恋愛リア充自慢は誹りを受けるのでやりにくいですからね。
その点、推す活動は、気軽にできて、万人に受け入れられやすく、安全な自己表現なのです。
YouTubeにおいての有名人に対するスパチャ(投げ銭)も、特別な体験です。
さらに、ログが残るという意味で、有意義な活動なのでしょう。
加藤純一さんの結婚披露宴はYouTube上で開かれ、同時接続数は46万人超えました。
スパチャの総額が2億1758万円です。
2021年のスパチャ額で最も高かったチャンネル潤羽るしあ (1億9706万円) を裕に超える桁外れな記録を残したとのことです。
昔はプロ野球やスポーツが推し活動の典型例でした。
自分の応援するチームが強くなることで、自分の価値も高まったと感じていました。
それが、今や、プロ野球やスポーツよりも、映画キャラやゲーム活動や有名YouTuberに対象が変わったのです。
4 エンタメ産業の未来。
エンタメの未来として、縮小する日本市場だけではジリ貧になる可能性が高いです。
海外展開も視野に入れなくてはならないでしょう。
海外展開の事例については「推しエコノミー」という本に詳しく書かれているので、ぜひ読んでみてください。
エンタメ業界に関わる人達(ゲーム会社や電通、TV局、映画やアニメ会社や出版など)は必読の内容となっています。
パナソニックは失速しました。
一方、日本のエンタメ界のスター企業であるソニーの躍進についても詳しく分析されています。
縮小する日本市場ですが、IP(知的財産)を活用する戦略も使えるでしょう。
スタジオジブリの「千と千尋の神隠し」は日本では2001年に上映され、中国では2019年に上映されました。
つまり再上映であるのにもかかわらず、80億円以上の収益になりました。
1988年に日本で上映された「となりのトトロ」も、中国で上映され、興行収入30億円超えです。
さらに、30年前に、対戦格闘ゲーム(「餓狼伝説」「サムライスピリッツ」「ザ・キング・オブ・ファイターズ」)を作った会社(SNK)が、中国で大ヒットしました。
300億円規模の売上を誇るようになりました。
縮小する日本市場で「懐ゲー」「懐アニメ」を開拓するよりも、中国のほうが将来性がある可能性があります。
1980年代の少年ジャンプのブランド遺産が潤いました。
だからこそ、1990年代から2000年代にかけて海賊版を通じてアジアへの影響力のあった日本のゲームやアニメIP(知的財産)を活用するのは有効かもしれません。
ところで、海外に買収されると負け組みたいなイメージを持つ人もいるかもしれません。
ですが、台湾の鴻海精密工業に2016年に買収されたシャープは、1年で時価総額が2000億円から2兆円へと10倍になりました。
さらに、1600億円の営業赤字から1300億円の営業利益を出すまでにV字回復し、その後も5年間好業績が続いています。
資本参加により、対象国のユーザーをよく知る有力パートナーを得られ、成果が上がることもあるのでしょう。
さて、市場の大きさとしては、アメリカ、中国が2大巨頭であり、有望だと思います。
ですが、中国政府はゲームに対し、時間制限など規制をし始め、行方が不透明になっています。
さらに、ロシアのウクライナ侵攻で、中国が将来、台湾や尖閣諸島に対して侵攻する可能性も残り、リスクがあります。
エンタメ日本メーカーとしては、このまま国内のとどまるか、もう一度米国で頑張るか、新たに中国に展開するか、の3択となっている現状でしょう。
(他の海外諸国はまだ市場規模が小さく、有望な選択肢ではありません)
さて、アニメ制作における米国中心のハリウッド経済圏と、日本を中心とするオタク経済圏の違いについても、本では詳しく分析されています。
かなり参考となりますので読んでみてください。
簡単に言えば「アメリカは巨大スタジオで制作し、日本は町工場で職人が手作り」という形式のことです。
また、アメリカ、中国、日本において、日本だけが規模(ユーザー人数、展開エリア)を広げられていません。
ですが、1ユーザーあたりの収益性はきわめて高く、それが日本の強みとなっています。
以下の記事では、日本勢がYouTubeでのスパチャでは上位を独占していると書かれています。
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2103/18/news070.html
2日間で1億円──投げ銭“スパチャ”の流行は日本特有? YouTube幹部に直撃インタビュー
しかも、VTuberなど、顔を晒さない人達も人気なのが特徴です。
日本はオタクや推し活動をする人が多い文化なのです。
つまり、日本はLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の7兆円規模のブランド帝国路線をエンタメ業界でとることも可能ということです。
ルイ・ヴィトンの商品は手作りであり、廉価版を安く販売し、認知を広げる行動もとりませんでした。
で、中古品でも流通価格は9割ですし、海賊版も許さず、高級路線を貫いています。
言わば、目指すべきは、アニメ・マンガだと、拡大路線で最大多数にリーチするアメリカ企業ではないのです。
つまり、LVMHのような作品自体をブランド化し、ファンの活動によって経済圏全体を豊かにするという路線です。
(中国も北米と同じ拡大路線です)
「リッチな映像」「全世界でのヒット」「大人から子供まで楽しめる」というアメリカのグローバル作品路線だけでなく、以下のような路線もありです。
つまり、「安価な映像」「一部ファンでのヒット」「とても子供には見せられない」ものが大ヒットする、いわゆる予算ありきではなく、アイデアで勝負する道です。
2017年に制作された「カメラを止めるな!」という映画はまさに低予算でアイデア発想の成功例でしょう。
アイデアで勝負し、深い推してくれるファンを掴み、収益性を上げ、あわよくばアメリカや中国にも展開するのです。
(アニメに関しては、日本アニメはアメリカ市場では大敗北状態です)
ジャパニーズRPG、異性界モノ、ボーカロイドは日本の多様性、表現の自由から生まれた作品です。
あとは、マンガ・アニメ・ゲームは、消費から参加型(体験と物語)になっているという点は重要です。
加えて、本には世界キャラクター経済圏マッピングが載っており、一番キャラクターとして市場規模がでかかったのは○○だと書かれています。
(貴重な図ですね)
また、アパレル業界は、1991年の15.3兆円から2013年の10.5兆円まで、約20年で市場が3分の2に縮小しました。
供給点数が2倍になったものの、価格は3分の2になり、在庫も2倍(2分の1しか売れない)になったのです。
(百貨店でブランド服を買うのがステータスだった時代は終わったのです)
資本投入量で勝つというハリウッド型ゲームに支配されないことが大事です。
人々がブランドの価値を喪失してアパレル産業のように地盤沈下しないために、日本もやり方を柔軟に変えていく必要があります。
ゲームはすでに日本国内市場でも2〜3割が中国・韓国産です。
アニメやマンガにしても一部製作工程のアウトソース(外注)は始まっています。
すべての生産工程を日本組織、日本人だけでまかないきるのは不可能になっています。
このトレンドは今後10〜20年単位で続くでしょう。
「推しエコノミー」という本は名著です。
この記事では載せていない情報も満載なので、ぜひ読んでみてください。
「推しエコノミー」4点。
エンタメ社会学者の著者の本。
著作もたくさん出している方。内容は傑作である。
エンタメ業界(ゲーム、アニメ、映画、出版)に関わっている人はぜひ読んだ方がいい。
過去から現在、未来までのエンタメの姿が著者の独自の分析により、垣間見れるであろう。
エンタメ業界に対する見方が一変するかもしれない。
まぁ僕がエンタメ業界にそこまで詳しくなかったからこそ、未知の知識だらけで興味深く読めた可能性はあるが。
エンタメ初心者には高得点がつけられる本であり、オススメ。
以上、本の内容の主張をかなり載せましたが、僕の持論も載せます。
以下の記事によると、TBSは海外戦略を加速するそうです。
https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=14158
TBSが海外戦略の新会社設立や新スタジオ建設などコンテンツ拡張戦略「EDGE」の推進プランを策定。
EDGEとは、以下を指します。
デジタル分野、海外市場、エクスペリエンス(ライブ&ライフスタイルなど体験するリアル事業)の3分野を最重要領域とするキーワードです。
まず、TV局は記事でも述べたとおり、アーカイブではなくライブ感覚を味わえる貴重な場だという点です。
つまり、「お祭りをいかに演出できるか?」が勝負どころでもあります。
お祭りを演出するには、強いキャラクターや制作物がないと難しいです。
「半沢直樹」「シン・エヴァンゲリオン」「名探偵コナン(安室透を100億の男にする活動)」などあります。
今だったら、ウマ娘ビジネスが熱いかもしれません。
ですがサイバーエージェント系なので、AbemaTVに放映権を握られているでしょう。
祭りを作り、推し経済圏を作り上げるには、強いキャラクターや制作物、いわゆるキラー的存在が必要です。
AbemaはカタールW杯の全試合中継をしています。
(ソニーもスポーツの領域に目を向けました)
また、昔だったら、TVアニメから派生し、ガンプラなどまで他展開したガンダムがあります。
しかし、今はゲームアプリから派生し、BDやフィギュアやグッズなどその他へ他展開する流れがあります。
ところで、今、芸能界を脅かしているのが爆弾男である東谷義和氏です。
芸能人の過去のスキャンダルを暴露しまくっています。
で、その芸能人らが過去に制作に関わっていた場合、放送も一時的に難しくなりそうです。
過去には、モーニング娘、AKB48、今は乃木坂46などアイドルはいますが、リアル人間アイドルはスキャンダルが怖いのです。
(ジャニーズも該当します)
その点、アニメキャラクターやゲームはスキャンダルがありません。
今後、推し経済圏を作る場合、「リアル人間で本当に大丈夫か?」という視点が出てきそうです。
しかも、女性アイドルの場合、賞味期限が短いです。
(ジャニーズは20年以上、持ちます。SMAPや嵐など)
あとは女性アイドルの場合、スキャンダルが多すぎて、ファンも安心して推し活動ができません。
(何度も過去、裏切られた経緯があります)
その点、ウマ娘は競馬と女性アイドルを組み合わせたものです。
つまり、ゲーム性や推しや課金やフィギュアに適しており、奇抜的な発想ですし、リアル人間じゃないので安心感があります。
また、荒野行動でゲームカップルがたくさん誕生したということから、この路線を突き詰めたゲームを開発するのはありだと思います。
Z世代向けに、ゲーム内での協力活動により、ゲームカップルが誕生します。
さらに、一緒に楽しめて、さらに映像化、フィギュア化、SNSへの投稿、など他展開する流れもありそうです。
(一緒に庭を開発する、婚活アプリである「恋庭」もありますが、地味です)
僕だったら、無人島ゲームを作りますかね。
日常の日本?から海外へ、無人島?に強制的にカップルで行かされて、そこで協力プレイで生き残れるか?を試すのです。
ここで頭脳とサバイバル能力を女性に見せることができたら、男の株が上がります。
(課金することにより、生存に有利な武器や情報を得られるようにします)
ちなみに、無人島のサバイバルゲームでは、既に有名なゲーム「荒野行動」がありました。
もしくは、ライアーゲームみたいに、強制的にゲームに参加させられて、カップルで数々の騙し合いゲームを勝ち抜き、生き残れるか?というゲームもありでしょう。
(これも課金したら、生存に有利なアイテムや情報を得られるようにします)
伝統的な日本のRPG(ドラクエやFFやゼルダ)形式で、カップルが協力してクリアする形式もありかもしれません。
(単なる魔物との戦闘だけだと面白みに欠けるので、バラエティをもたせたいものです)
これらのゲームが上手くなったら、男の価値が上がったような錯覚がするかもしれません。
(ちなみに、現実世界でもある程度役立つような、ゲーム内容にすると、本当の男のサバイバル能力が測れるでしょう
女性は女性で、男を補佐したり、男をうまく転がして、あげまんになれたら、有能感などを味わえるかもしれません。
協力プレイの際、Discordなどで、会話も可能にすると、さらにカップルの仲が深まるかもしれません。
ゲームアプリ上で、上位カップルになった場合、TV放送で、TV放送用のプレイをできて、全国放送されるになると、さらに盛り上がるでしょう
エンタメ業界はゲームを無視できなくなっていると思います。
加えて、映像化(アニメ、映画、TV局)、BDやフィギュアなどのグッズ、SNSへの投稿、などで祭りを作り上げるのが大事です。
そして、さらにそのコンテンツに依存させる仕掛けを作ります。
他に、僕が面白いと思うのが、ポケモンGoでも一部ありましたが、リアル運動系カップル協力アプリです。
カップルというチームを組んで、各々がリアルに外に出て、運動したり、探索し、それにゲーム性をもたせるのです。
(カップルの仲が深まる上に、ダイエットや健康に良いです)
もしくは、カップル料理ゲームです。
カップルで料理作りを疑似体験したり、勝負するゲーム性を持たせるのはどうでしょうか?
リアルの料理づくりに活かせますし、ゲーム内で料理を学べます。
しかもゲーム性があるし、カップルの仲が深まるので、一石三鳥だと思います。
運動と料理という分野はリアル性がある上に、SNS投稿で映えそうですし、面白そうです。
(同時に婚活活動にもなります)
さらに存在したらいいなぁというアプリが、リアル日本運転協力ゲームです。
日本のリアルな国土を、疑似運転できるようにするのです。
実際のリアルなドライブデートの代替となるか、事前の練習ドライブにもなりそうです。
女性も運転の練習ができますし、ゲーム上の景色ですが、ある程度は楽しめそうです。
そして、ドライブ中に、ヤクザが絡んできたり、いろいろなゲーム性を持たせ、非日常感を味あわせます。
(もちろん、民家などはぼやけさせて、ある程度の風景にしますけどね)
以上、僕のアイデア発想も加えてみました。「推しエコノミー」という名著に出会えたことで、アイデア発想が膨らみました。良書を読むと、発想が浮かびます。
ではこの辺で。(6745文字)
このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。
あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。
参考・引用文献。
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